文道の2人は、約30年、出版の世界に身を置いています。何百、何千の原稿に目を通してきた中で、「文章のプロと、そうでない人の大きな違い」に気がつきました。
文章のプロは、次の「2つ」を理解した上で原稿を執筆しています。
①文章の機能を理解している
文章の機能とは、「情報を正確に伝えること」です。
文章のプロの多くは、情報を正確に伝えるために、
「誰が読んでも、誤解しないように」
「100人が100人とも、同じ解釈ができるように」
「相手が文章を読んだときに抱くイメージと、自分の頭の中にあるイメージが一致するように」
心がけています。
文章のプロが語彙力、表現力、文章全体の構成、情報の精度と確度、画面や誌面の見せ方に留意するのは、「情報を正確に伝える」ためです。
②自分の独り言ではなく、読者に役立つ情報を発信している
心理学者の榎本博明先生は、人々がSNSに夢中になる理由として、「自己表現の欲求」と「承認欲求」を挙げています。承認欲求とは、「他人から認められたい」「自分を見てもらいたい」「自分の考えを認めてもらいたい」という欲求のことです。
一方、文章のプロは(とくに実用文の書き手は)、「自己表現の欲求」や「承認欲求」よりも、読み手に対する「情報提供」を優先しています。
自分の書きたいことと、読者が知りたいことは必ずしもイコールではありません。自分の思い、気持ち、考え、感情を押しつけるのではなく、
「読者の役に立つこと」
「読者が知りたがっていること」
を正確に文章化しています。
自分勝手な文章では、誰かを傷つける可能性がある。自分の書いた文章の先には、必ず「相手(読者)」がいる。そのことがわかっているため、自分の感情を一方的に解き放つことはありません。