コラム

あの人はなぜ、自分の考えを「言語化」できないのか

 言語化とは、

・「自分の考えや周囲の状況を的確に表現する」
・「感覚的なものを論理的に整理して、相手がわかる言葉にする」

 ことです。

 言語化ができないと、

・「自分の感情を適切に表現する言葉が見つからず、安易な言葉を使ってしまう」
・「新しいアイデアのイメージが浮かんでも、提案できない」
・「現場、現実、現物の状況を正確に報告できない」

 ため、仕事で評価されないだけではなく、日常のコミュニケーションにも悪影響を及ぼします。

 言語化がうまくできない理由は、おもに「2つ」あります。

①自分の考えを整理できていないから

「思考」に言語(言葉)は欠かせません。人間は、言語を使って自分の考えを整理しています。
 思考を深めたり、考えを整理したいときに有効なのが、「なぜ、なぜ、なぜ」と問い返すこと。
「なぜ、なぜ、なぜ」
「なんで、なんで、なんで」
 と理由を突き詰めていくと、あいまいさが取り除かれ、モヤモヤの輪郭が見えてきます。

◉例文
「新しく買った掃除機はすごくいい」
 ……何が、どう「すごくいい」のかがわからない。
 (なぜ、すごくいいのか?)
・使いやすいから。
 (なぜ、使いやすいのか?)
・以前使っていた掃除機よりも軽量だから。
 (なぜ、軽量だと使いやすいのか?)
・手の負担が少ないから。
・軽いと高いところへ持ち上げることも簡単だから。
・子どもでも扱うことができるから。

「なぜ、なぜ」と思考を深掘りすると、「そう思う理由」「そう結論づけた理由」が具体的になるため、自分の立場や意見が相手に伝わりやすくなります。 

②語彙力が足りないから

 さまざまな状況で生まれたさまざまな感情を、同じ言葉だけでまかなうことはできません。
 たとえば、「ヤバい」という言葉。
「ヤバい」は「危険や不都合な状況が予測されるさま」を示す俗語です。本来は、「否定」を強調する言葉ですが、現在は、「肯定」を強調するときにも使われます。

◉例文
「あの人は、ヤバい!」

 この例文は抽象的で、「ヤバい」で表現したいのがどのような感情(状況)なのか、不明瞭です。すべての感情(状況)を「ヤバい」で表現するのは乱暴です。自分の感情を的確に表現するには、「使える語彙」の量を増やしていく必要があります。

 言語化する力を伸ばす方法のひとつが、「文章を書く」ことです。
 自分が見たもの、聞いたこと、感じたことを「適切な言葉」に置き換えて、文章にする。SNSなど、他者が読むことを前提とした文章を書くと、情報を丁寧に整理するようになります。「読んだ人にわかってもらおう」という意識が働くからです。

参考:『文章力が、最強の武器である』(SBクリエイティブ)

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プロフィール

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藤𠮷 豊

編集プロダクションにて、企業PR誌や一般誌、書籍の編集・ライティングに従事。編集プロダクション退社後、出版社にて、男性情報誌、自動車専門誌、2誌の編集長を歴任。

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小川 真理子

編集プロダクションにて、雑誌や企業PR誌、書籍の編集・ライティングに従事。フリーになった後は、電通レイザーフィッシュにて企業のWEBサイトのコンテンツ制作に関わり(非常勤)、仕事の幅を広げる。

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